奇妙な世界

毎度言っている気がしますが、お久しぶりです。
実は今月はじめ、しばらくこんな鳥さんと生活を共にしていました。
さあこれはなんだ
これを一発で分かる人居ますか?
答えはメジロ。ウグイスじゃないですからね。
この鳥さんのことを知らせてきた人もこの鳥さんをウグイスだと思っていたみたいです。
ウグイスはこんな綺麗な緑色ではなく、もっとくすんだ色で目の周りにこんな白い縁取りはありません。
さてこのメジロ、3月始めの寒波が来ていた頃の朝に道でうずくまっていたようです。
体温が下がっていたのか、全く抵抗する事も無くあっさり掴まってしまったのです。
そして暫くの間私が保護していたというわけです。


始めに言っておきますが、法律により野生の鳥の飼育には許可が要ります。許可はほぼ下りないので実質飼えない様なものです。
例え怪我していようとも許可なしに一時的に保護する事も駄目なのです。奇妙な事に。
じゃ、なんでお前は?と言われそうですが私許可持ってますから。
この話はめんどくさいんでパス。
「野鳥 一時保護」「捕獲許可」とかのワードで各々調べてくださいネ!
小鳥さん
で、メジロってのが他の野鳥でイメージする、「穀類を食べる」「生きた虫を食べる」というものとはちょっと違って、主食は花の蜜とか果実だったりするんですね。(しかし実際はバナナとかでも充分代用利きます)
食性も面白いんですが、このメジロに関するエトセトラが結構調べていて興味深かった。
まず一つはメジロは唯一大手を振って飼える野鳥である事。
とはいえ、飼養に関しては各都道府県の許可が要り、また飼養できる数にも制限があり各家庭1羽までであること、そして毎年許可の更新が必要でその度に更新費用が必要であったりハードルは高い。
何故メジロだけはOKなのか?それには「鳴き合わせ会」という存在が。
鳴き合わせ会とは明治時代くらいから始まった、メジロの鳴き声の品評会のこと。(評価の基準は鳴いた回数だったり声の質の良さだったりローカルルールは色々あるんだろう)
詳しくはコチラで。(追記:2017/07/06現在リンク切れ。代わりにアーカイブスの2013年時のリンク貼っておきます。メジロの鳴き合わせ会

要するに昔から日本でメジロは人気で飼う習慣があったということ。
つまり他の野鳥は駄目だけど、妥協してメジロだけは制限つきながら飼ってもいいよ…ということなんでしょう。
ところが、当たり前なんですが品評会とかのレベルになると法律の範囲内の1羽だけで勝負できるわけが無い。
本気で勝負するなら何羽も居る中から大会のときに一番ベストな状態の子を出すのが当たり前だろう。
もちろん何も日本のメジロだけしか出てはいけないわけじゃないんです。
むしろ輸入されたメジロであれば何羽でも合法で飼えるわけで、それであれば何羽もの中からベストな状態の子を出せそうなもんですが…
ところがやっぱり日本のメジロと、中国・台湾あたりのメジロでは声の質や鳴き易さが違うらしく普及せず。(それ以外にも文化的な面でもやはり日本のメジロでないと…という部分はあるんだろう)
上記の理由で違法と分かりながら無数に日本産メジロを飼う人もたくさん居るわけです。
当然大会は密猟の温床で、捜査のメスも入りやすい。
そこでまた悪知恵を働かせる人が出てきた。
輸入メジロの許可書、脚輪を密猟してきた日本産メジロに取っ付けて「このメジロは正規に輸入された外国産メジロだ!」と。
外国産メジロと日本産メジロを見分ける方法が確立されてなかった当時(今はもう見分け方法が確立されています)許可書と脚輪を堂々と突きつけられればなす術ありません。
急速にこの悪どい方法が一部業界で広まったようです。
輸入メジロの許可書、脚輪を密猟された国産メジロに付けるとして、じゃあ当の外国産メジロは?というと殺されるか放鳥されていたようです。
輸入されるだけされて用済みになればポイされたわけですね…悲しい…
また放鳥された奴らが一部日本に帰化しているようです。
なんでこんなことに…と言わざるをえない。
鳴き合わせ会のこの現状を見れば自分で自分の首を絞めているとしか思えないのですが…
しかし一概に「自分で自分の首絞めやがって!」と言えるかというと難しい。
まずメジロに関するアレコレの法は「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」要するに狩猟動物に関する法律で定められています。
つまり「動物の愛護及び管理に関する法律」、ペットの法律ではない。
メジロは明治時代から鳴き合わせ会が行われ愛玩動物として親しまれてきたという文化面が完全に無視されているわけです。
鳴き合わせ会に拘らないなら、日本では野鳥を飼う事は平安時代から行われてきています。
それなのにある日突然「一切飼うの禁止。野生動物だしね!」と言われては
工エエェェ(´д`)ェェエエ工
となるのも当然に思える。
爬虫類脳なのかもしれませんがWCは駄目でもCBくらいなら飼養OKにすればいいのに…と思ってしまう。
もし全面禁止ではなくCBであればOKという法であればどうだったでしょうか?
たぶんCB化が進んでもっとメジロに関するブリード法が確立し、外国産メジロの犠牲も出ずに済んだのでは?と思うんですが…。
野鳥の会とか全国密猟対策連絡会のサイトを見ているとやれ捕獲反対!密猟反対!鳴き合わせ!?言語道断!て風なニュアンスで書いてあるんですが、野生鳥獣に関するこの手の法律に関して野鳥飼育は一切禁止すべき!!!と押しに押しまくってたのがこの団体なわけですね。
正直逃げ道なくして追い込んだのあんたらやん…と思う。CBに限り許可が下りる、という逃げ道を残しておくべきだったろう。
しかし今の法では各家庭1羽までではまずつがいすら飼えないし合法のCB化なんて絶望的。
法を犯したのは個人だとはいえ、その個人が法を犯さざるを得ない方向に追い込んだのはその団体なんではと思う。
鳴き合わせ、という文化自体すごく興味深いものだし、小鳥を飼育するための竹篭にも職人さんの技術があって、そこにも文化がある。
あまりにも惜しい、と私は思います。
そして、野鳥は自然にあるべき、小鳥さんは空を飛んで自由な存在☆という美化しまくりな発想が…
なんというか…捕鯨反対している人たちと同類に思えて仕方が無くて…正直気持ち悪い。
メジロさん
さてこのメジロさん、保護から5日後にはお外に帰しました。
しかし写真を見てもらえば分かると思うんですが左の翼が下がってますね。
たぶん傷めた翼がこのまま固まってしまったのだと思うのですが、ちょっと飛ぶのが遅く感じました。
しかし飛べないわけではない。部屋の中で飛ばせて様子を見てたんですが迷った挙句放鳥。
これは生存確率あまり高くないだろうなぁ。
猛禽とかにすぐやられそうな予感。
しかしそれも自然の摂理なのよね。悲しいけど。

4 件のコメント

  • メジロさん、キリっとしていてカッコイイ顔つきしてますね。
    もっと愛らしい印象だったのですが、よく見るとイケメンだったのですね(・∀・´
    そしてメジロや野鳥に関するお話、興味深かったです^^*
    スズメやカラス、他のどの野鳥も全面的に飼育禁止のものだと思ってました。
    鳴き合わせなる文化も初めて知ったし、身近で当たり前のものにも
    それぞれ歴史があるのだと思ったら面白みが湧きました。
    banzaiさんが保護されたメジロ、どうか無事に生活してくれていると良いですね!!^^*

  • 野鳥、そうそう近くで見れる機会なんてないですからね・∀・*
    ここぞとばかりに観察しまくってました。
    法律的には飼えないわけではないんですよ。
    許可制であって。啓発ポスターとか見るといかにも禁止のように書いてあるんですが。まぁ実質許可は下りないので禁止と同義なのですけど…。
    どうもこと野鳥のことに関して、情報がなかなか無いし調べるのに苦労しました!;
    こういう文化面のことも、悪だ、と書かれているサイトはあっても、文化的に掘り下げて書いてある所はほぼ無いです。
    情報の偏りを感じました。
    何か裏に意図的なものを感じません?(´ー`)ニヤリ
    飛び立っていったメジロ、上手く生き残ってくれていればいいのですが…
    ですが最初に弱って保護された、という事自体がすでに野生で生きるのが難しいという事を意味していますから…
    もうお歳だったのかもしれません。

  • 3月…29日…だと…
    うわーぁああ、完全に見逃してました!スミマセン!
    3点リーダーの意図がちょっとごめんなさい、分からないんですが。